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日本のがん治療の現状とがん治療の選択肢について

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目まぐるしく発展している
がん治療の現状とその選択肢

実はここ10年で、日本人のがん患者の寿命は劇的に延びたといわれています。その背景には、日本のがん治療が目まぐるしく発展したこと、そして正しい知識を持って患者さまに合わせた治療を選択できるようになったことにあります。こちらでは、福岡市中央区の「鶴田クリニック」が、日本のがん治療の現状やがん治療の選択肢について解説します。

日本のがん治療の現状

国内のがん患者数の現状

日本国内において、2020年に新たにがんと診断されたのが945,055例※(男性534,814例、女性410,238例)、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性62.1%で女性は48.9%とされています。

2022年にがんで亡くなった人の数は385,797人とされ、がんによる死亡率は男性25.1%、女性17.5%、全体で64.1%です。がんと診断された人の5年相対生存率は、2009~2011年のデータによれば、男性62.0%、女性66.9%とされています。

※性別不詳が含まれるため、男女合計は総数と一致しません。

日本のがん治療の現状
ここ10年で寿命が劇的に延びた主な理由(分子標的薬、免疫療法)

近年、日本人のがんによる死亡率は減少傾向にあります。特にここ10年は劇的に寿命が延びており、その主な理由として「分子標的薬」と「免疫療法」が挙げられます。
分子標的薬とは、がん細胞の増殖に関わっている複数の分子などを標的としてがんを攻撃する薬のことです。

免疫療法とは、人が持つ免疫の力を利用し、がん細胞が免疫細胞にかけているブレーキを外してあげることで免疫細胞を活性化させたり、がんを攻撃する治療法のことです。
これらの研究が進み、正しく活用できるようになったため、がんによる死亡率が減少して寿命が延びてきていると考えられます。

増え続ける「看取り難民」と「がん治療難民」

各種メディアでも取り上げられていますが、年間50万人程度の方が病院以外の場所で亡くならければならない「看取り難民」という言葉が問題になっています。

かかりつけであっても十分な医療が受けられず「たらい回し」に合うという事が増えてきています。この様な事が起こってしまう原因として日本の歪な診療報酬制度が影響しています。
日本の医療費はどの病院やどの先生がみても病気の名前ごとで診療費が一緒であるというDPCと呼ばれる診療システムで運用されています。病院は一般的に非営利組織であるので急性期病院の利益率が1%前後となっていることから病床稼働率(1日に何人入院しているのか)はとても大事な経営指標になります。

例えば、500床程度の入院ができる病院であれば毎日490人の患者さんが入院していないと病院は赤字になって潰れてしまいます。
そのため、入院患者を確保することが至上命題となりますが同じ患者さんをずっと入院させて満床にされると国としては救急患者や救急車を受け入れてもらえなくなることを問題視しており、前述のDPCという診療報酬制度が適応され「これ以上の日数を入院すると病院が赤字になるので退院してください。リハビリ病院に転院してください。」と患者さん達は言われてしまいます。

病院としては、490人の入院の回転を維持するためにかかりつけの患者さんを3,000~4,000人以上抱えていることから「かかりつけの患者さんの椅子取りゲーム」が発生します。
分かりやすい例でお話すると、新型コロナウイルス感染症流行時に3,000人のかかりつけの患者さんの中で30人がコロナ感染となったときに10人しか入院できる枠がないことからほかに490人の入院枠があるにも関わらず「病院がつぶれてしまうのでコロナ病床を作ることができない」という問題が発生し「救急車たらいまわし」という社会問題が起こってしまいました。

そのため、国は「コロナ病床を作ってくれたら患者さんが入っていない状態でも入院している患者さんがいるのと同じ様に補助金を出しますよ(コロナ補助金)」という事で乗り切った訳ですが複数のメディアや国民の方々から叩かれているのはご存じの通りと思います。
がん患者さんも当然「かかりつけの患者さんの椅子取りゲーム」から逃げることはできません。主治医の先生がいかに優しく「きつい時は病院にきていいですよ」と言っても電話をしても繋がらないし「救急車で行ったら知らない先生が対応して嫌な思いをしたよ」という事も少なくありません。

国もこの問題を強く認識していて、地域医療構想として「かかりつけ医としての24時間365日救急対応してくれる訪問診療医」を増やす方向で動いています。

さて、話は戻りますがこの490人の入院患者の回転を維持する仕組みをどの様に作っているかというと大きな急性期病院は利益を出すために「手術」、「救急」、「がん治療」のどれかを収益の柱としなければなりません。
救急は主に心臓病や脳卒中といった冬に多くなる季節性があることから多くの病院の安定経営のためには季節性のない「がん診療」を柱とします。
しかしながら、利益優先で「がん診療」を柱にしてしまったことから「がん薬物療法専門医」などの腫瘍内科専門医のいない病院も多く標準治療もままならない業界用語で「なんちゃってがん拠点病院」が多数存在している事が問題視されています。
そのため、大きい病院にかかっているのに「ガイドラインに記載されている様な遺伝子検査すらまともにされていない」といったがん患者さんがあふれています。

当院では、病院で治療できないと言われた患者さんでもプロの目線からみて治療できる事もあるので「自分や自分の家族でもがんになったら、診てもらいたい唯一無二の医療機関」を作ることを使命としています。

がん治療の原則は5本柱の中から1つないし複数選択ですので必要に応じて信頼のできる関係医療機関にお繋ぎすることも行っています。

がん治療の5つの柱

手術療法

手術療法とは、腫瘍や腫瘍のある臓器を切除する方法です。がん細胞は周囲の組織に広がる浸潤や、リンパ管や細かい血管に入り込んで転移を起こすことがあります。そのため、手術療法では、がんができている臓器を広めに切除するのが一般的です。手術により臓器の機能が失われる場合は、臓器同士をつなぎあわせ、機能を回復させる手術を行います。

どのような手術療法を行うかは、がんの種類・病気の進行度などに応じて選択します。開腹手術や開胸手術は手術部位を直接目視しながらがんを取り除く手術です。腹腔鏡や胸腔鏡を用いながらがんを取り除く物には、ロボット支援下手術などがあります。

薬物療法

薬物療法とは、がんの治癒またはがんの進行を抑えたり、身体症状を緩和したりする治療のことです。薬物療法には、「化学療法」「内分泌療法(ホルモン療法とも呼ばれます)」「分子標的療法」など複数の種類があります。白血病などの一部のがんでは薬物療法のみで治癒を目指すことが可能ですが、固形がんでは手術療法や放射線治療と併用することや高度な専門性や他科診療連携や調整能力が必要となります。

鎮痛剤や制吐剤を用いて、がんや薬物療法による症状を和らげる治療は「支持療法」と呼びます。

高齢であっても、複数の新薬の登場で従来治療困難であった症例も治療可能になってきています。

放射線治療

放射線治療は、完治を目指す、またはがんによる苦痛を緩和する目的で行われます。手術療法と同じようにがん組織に対して行う治療ですが、臓器を取り除くのではなく、がんの部分に放射線を照射することで治療します。がん細胞は分裂・増殖の力が強い一方で、遺伝子が傷つきやすく修復の力が弱いという特徴があります。つまり、がんを標的として、放射線によりダメージを与えることでがん細胞を死滅させることを目的とします。手術療法や薬物療法などと併用することもあります。

免疫療法

免疫療法とは、免疫システムを利用し、がんを排除する治療法のことです。がんになってしまう原因は、免疫システムがうまく機能しなかったことにあります。免疫力が低下すると、免疫細胞はがん細胞を見逃しやすくなり、見つけたとしても排除しきれません。そこで、免疫細胞を活性化させることで、がん細胞を排除しようというのが免疫療法です。人体にもともと備わっている免疫の働きを利用することから、抗がん剤の様な身体への副作用が少ないという反面、効果の高い免疫療法は命に関わる様な免疫関連有害事象(IrAE)がある一定の頻度で起こることから専門医による専門的な副作用管理が必要とされています。

症状緩和療法

症状緩和療法とは、がんによる心と身体のつらさを緩和することを目的とした治療です。がんと診断を受けたときには、すでに痛み・息苦しさといった症状が出ている方もいます。また、がん宣告されることで、多くの人は落ち込んでしまいます。症状緩和療法とは、がんが進行してから始まる物ではなく、診断されたその瞬間から、心と身体を守るために行われる物です。

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